【コラム】「失われた30年」を体験した日本、後を追う中国
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2023.09.24 11:574
21世紀の近代経済史は何度かの大きな変曲点を通過した。2000年の世界は総生産(GDP基準)の30%を超える圧倒的1位の米国に続き日本がおよそ15%を占める構図であり、当時新興国だった中国の割合は3%ほどとわずかだった。2010年を基点に中国が日本を抜いて単一国としては2位に上り、トランプ米大統領が就任した2017年には欧州連合(EU)加盟国のGDP合計を超え名実ともにG2の隊列に上った。コロナ禍を過ぎた2020年以降、世界経済の25%を占める米国を18%の中国が追撃する姿だったが、いまはまた別の転換点を予告する中国経済の構造的低成長が新たな世界的話題に浮上している。
半世紀前に筆者が留学に向かった時代、学界でも業界でも関心はすべて日本だった。第2次大戦敗戦国から奇跡的な経済成長を生み出した日本から学ぼうとジャパンブームが世界を席巻した。日本式企業経営と成長戦略は新しいベンチマーキング対象として浮上したが、それからほどなく「失われた30年」の序幕を控えることになる時期だった。
世界銀行に入った1980年代中盤の初めての出張は改革開放の門戸を開いた中国だった。私はその後中国の天地開闢の歴史的現場に長く出入りした。ところがコロナ禍後の地政学的対立の高まり、世界的供給網再編、産業大転換加速化など対外変数が長く蓄積した内部構造的問題と重なり中国の状況は急変した。
このほど英経済誌エコノミストのカバーストーリーは40年にわたる中国の奇跡的成長モデルが幕を下ろしたと評価した。今年の年間目標5%成長のペースは主要国よりは高いが20年間の平均10%に比べ大きく下がり、地方政府の過剰負債と不動産デフォルト危機で金融市場不安と外国人投資離脱が加速化し、GDP成長率予想も相次ぎ引き下げられている。高成長時代への回帰は水泡に帰し、構造的長期沈滞の可能性が大きくなり2030年ごろには中国のGDP規模が米国を超えるだろうという予想も姿を消した。
中国がピークを過ぎたという「ピークチャイナ」の断定には早いという指摘も出るが、最近のブルームバーグの分析によると、中国は米国のGDPを超えるのは難しく、2040年代にしばし1位になっても2050年代にはすぐ再び1%の低成長の構図に落ちると予想した。中国の日本型長期不況の警告も続いている。日本型長期不況とは少子高齢化の人口構造悪化と不動産バブル崩壊後の中低成長・低物価の長期沈滞を称する。一例として日本の1990年から7年間の物価推移と中国の2016年からの現在のインフレ傾向がとても似ているという分析などとともに中国が日本型低成長のパターンを追って行くという評価が説得力を増している。
さらに最近のウォール・ストリート・ジャーナルの指摘のように、中国は日本よりむしろ不利になるという評価も出ている。地政学的対立と人口構造悪化の側面で中国は日本よりもさらに厳しいという話だ。過去に日本が先進国の隊列に上がってから迎えた危機とは違い、中国はまだ中進国水準にとどまっており民間経済活力を落とす共産党主導の全体主義体制も中国の追加的限界に挙げられる。およそ50%に達する青年失業率で若い世代の不満が増幅され、「裕福になる前に高齢化が先にきた」という自嘲的な意味の「未富先老」の懸念が現実として近づいた。
8月の産業生産と小売り販売が予想より大幅に増加し中国経済が底を通過しているという期待感が高まっているが、不動産危機の懸念は相変わらずで、1カ月の数値で傾向的変化を計るのは無理という見方が支配的だ。4-6月期の中国主要都市の新規採用報酬平均が2015年以降で初めて減少するなど中産層の不安が大きくなり、所得・消費の減少にともなう成長率下落により中国夢は遠ざかり習近平体制に政治的負担になる状況だ。
『国家は破綻する』(原題:「This time is different」=今回は違うの意)という題名のハーバード大学ケネス・ロゴフ氏とカーメン・ラインハート氏の著書は「今回も違わない」という結論を下す。この800年間に発生した数多くの経済危機に対する検証分析によると、「過度な負債が金融危機の導火線」という公式は壊れていないという話だ。対内外の挑戦的経済環境下で積極的財政の役割は必要だが景気低迷と負債の悪循環を経験した日本などの事例は健全財政回復の重要性を呼び覚ます。堅実な財政は特に小規模開放経済の最後の砦だ。
低成長固定化の警告は他人事ではない。韓国はいま3高(物価・金利・為替相場)の衝撃に税収欠損と過剰負債により経済見通しに暗雲が立ち込めている。今年1%台中盤の成長は25年ぶりに日本より低く、来年2%に上がらなければ70年ぶりに2年連続1%台の低成長記録が出るところだ。構造的長期沈滞の主犯は耐えがたい負債で、負債縮小の正しい道は躍動的成長だけだ。国と企業の競争力強化に向けた構造改革と革新投資がそのために切実だ。さらには断髪や断食闘争の旧時代政治風土を超えて理性的・合理的政治社会文化の安着こそ先進経済構築の最も基本的な社会的インフラだ。
全光宇(チョン・グァンウ)/世界経済研究院理事長、元金融委員長
崖っぷちに立っているのは支那も韓国も同じでしょう。
両国とも過去の日本のように経済成長に舞い上がり、
不動産バブルに酔いしれ、国も企業も個人も落ちぶれていくのです。
両国ともこの先、長い時間をかけて外需依存から脱却しなければ
国として復興することはできないと思います。
支那も韓国も独裁国家のようなものなので、
良い指導者さえ現れれば、抜本的な構造改革に着手でき
長期間にわたる不景気に苦しまなくてもすむかもしれませんが、
逆に良い指導者が現れなかった場合、二度と復興しないかもしれません。
良い指導者ってなかなか現れないものですよね(笑)
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