記事入力 : 2023/06/05 17:35
それでも海流は回っている【寄稿】
ガリレオ・ガリレイを皮肉った「背の低い司祭」が思い出される
福島原発汚染水、科学的に理解すればむなしいほど微々たるもの
反核で身を固め、反日を扇動するこの時代の偽知識人たちよ
それでも地球は回り、海流も回るのだ
太陽が地球の周りを回るのではなく、地球が太陽の周りを回っていることに気付いたガリレオ・ガリレイ。そんな彼に背の低い司祭が訪ねてきた。鼻先であしらっていたガリレイに、背の低い司祭は次のように語った。「私はカンパーニャで暮らす農夫の息子として育ちました。そこの農夫たちは素朴な人々です。彼らはオリーブの木に関しては何でも知っていますが、その他のことについては何も知りません」
背の低い司祭は続けた。暖炉のそばに座ってチーズのかけらを食べる農夫たち、しわくちゃになった曲がった手で薪を割って畑仕事に専念する彼らにとって、天動説と地動説の違いは単純な学説的な対立では済まされない。そのつらくて苦しい生活に意味があるかどうかを問う問題なのだ。ガリレイの地動説は民衆に力を与えない。むしろ人生の意味と希望を奪っていくことだろう。
「もし私が、彼らの立っているのは宇宙の中で他の星の周りを絶えず回っている単なる小さな石の塊の上だと言ったら、無数に輝く空の星の一つに過ぎず、どこにでも存在する単なる星の上だと言ったら、私の家族は一体何と言うでしょうか。今になって、貧困の中で繰り返される途方もない忍耐と和解が何のために必要で有益だというのでしょうか」
ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒト。彼は代表作の一つである『ガリレイの生涯』を通じて知識人の役割について重苦しい疑問を投げ掛けた。知識人は働かない。生産活動をしない人たちだ。代わりに知的活動にまい進し、そのように知り得た真実を大衆に伝えることで世の中での役目を全うする。
まさに問題はここにある。知識人の鉄石のような自己確信とは打って変わって、いざ「民衆」たちは真実を望んでいないとしたら、索漠として冷静で、科学に基づいた事実に代わり、彼らの胸をときめかすことができる「ストーリー・テリング」だけを望んでいるとすれば、どう行動するべきだろうか。民衆を目覚めさせることは知識人の使命である。しかし、究極的に民衆により良い人生を提供しようとすれば、時には真実を隠しておいた方がいいのではないだろうか。
今日地球が太陽の周りを回っているという事実はもはや議論の対象にもなり得ない。法王庁でさえも、1633年のガリレイ裁判に対し謝罪と反省の意を表明して久しい。しかし、ブレヒトが形象化した極端な対立構図は依然として存在している。厳然たる科学的事実を隠したり話さなかったりする人々、大衆に正しい情報を伝達するよりも、大衆が聞きたがっている話を語ってあげることの方が正しいと信じる「背の低い司祭」たちが、堂々と知識人のふりをして歩き回っている。
福島原発汚染水についての論議を思い出してみよう。福島は毎年22TBq(テラベクレル)のトリチウム(三重水素)を太平洋に向け放出する予定だ。そら恐ろしく聞こえるかもしれないが、実際は微々たる量に過ぎず、論じるに値しないほどだ。放射能も自然の一部なのだ。毎年大気圏では5万から7万TBqのトリチウムが生成されている。太平洋にはすでに活動量300万TBqのトリチウムが存在している。
福島原発から放出された汚染水はまずカナダと米国に向かった後、太平洋沿岸を一周し、やがて福島に戻ってくる。それでも他の海流の影響で韓国近海にはほとんど到達しない。一方、2018年基準で釜山市機張郡の古里原発は、毎年東海(日本海)に50TBqのトリチウムを放出してきたものの、韓国近海は「放射能だらけ」にはならなかった。自然自ら作り出す放射能に比べれば微々たる水準に過ぎないのだ。地球が太陽の周りを回っているのと同じくらい、異論の余地なき科学的事実だ。
もちろん、大衆の認識はそう簡単には変わらないだろう。今でも世の中には地球が平らだと信じている人々がいる。依然として天動説を固守する人々もいるだろう。チェルノブイリと福島原発事故の影響を考慮しても、原子力は最も安全で環境に優しいエネルギー源なのだ。このような科学的事実を大衆が常識として受け入れるためには、より多くの歳月と啓蒙(けいもう)が必要となるだろう。
問題はあの「背の低い司祭」たちだ。法王の権威を振りかざし、民衆に地獄行きなどという恐怖心を植え付け、10分の1献金を求めてさまよいながら免罪符を売り歩いた司祭のように、彼らは反核運動の皮をかぶって反日と反米を扇動している。海水で薄められた原発汚染水を巡り「本当に飲めるのか」という本質から逸脱した言い争いだけを繰り返している。
ブレヒトを尊敬し、ガリレイに従うといった多くの進歩的知識人や科学者たちは、口をつぐんでいる。民主党の政治攻勢に加担しないだけでもありがたいものだ。彼らが何と言おうと、真実は明らかだ。それでも海流は回るのだ。
ノ・ジョンテ経済社会研究院専門委員・哲学
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やはり大多数の韓国人は
海流というものを知らないのですね(驚)
海洋国家である日本とは違い
半島では海流の存在を習わないようです。
勉強してください(キリッ)
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