【韓半島平和ウォッチ】韓日シャトル外交復元…FTAなど経済協力につながるべき
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.06.02 09:524
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が3月中旬の訪日、4月末の訪米、5月初めの岸田首相の訪韓、5月下旬の広島G7サミット(主要7カ国首脳会議)と続いた外交日程を次々と消化した。韓国の外交の軸を韓半島(朝鮮半島)重点の北・西からインド太平洋と世界を視野に置いた東・南に移す尹政権の1年間の方向転換作業が具体的な成果をあげる過程だ。
こうした中、各種問題で「失われた10年」を歩んだ韓日関係も、強制動員問題で韓国側が「第三者弁済」という一方的措置を通じた解決策を提示したのを契機にシャトル首脳外交も復元し、回復軌道に乗ることになった。
3月6日に発表された政府の強制動員解決策に対する国内の反応は予想通り6対4の割合で反対意見が多かった。こうした世論の反発は、1年にわたる外交交渉にもかかわらず、日本政府が被害者が要求する日本被告企業の反省・謝罪と自発的な基金参加を受け入れない中で解決策を発表したからだろう。尹大統領の政治的決断は、交渉を続けて日本の譲歩を引き出す戦術的利益よりも、韓日関係の早期回復で複合転換期の不透明な戦略環境を乗り越えていく戦略的利益を優先したことによるものと解釈される。
また、強制動員問題が事案の性格上、我々に「傾いた運動場」だったという点も作用した。2018年の大法院(最高裁)判決が以前までの政府の立場である「強制動員問題は1965年の韓日請求権協定で解決した」という見解に反するという負担があったからだ。これを口実に加害者の日本がむしろ被害者の韓国を「国際法と約束を破った」と責め立てながら攻守が逆転し、過去の問題で韓国が持つ道徳的優位を失うことになったが、今回の措置はこれを覆すためのものとみられる。
こうした外交イニシアチブは意図した戦略的利益を実現させている。予想より早く岸田首相が答礼訪問し、シャトル首脳外交が本格化した。また日本政府が固守してきた強制動員問題の解決なしに協力できないという「ワントラック」の立場が、韓日協力を再開させるトラックに転換され、関係改善の突破口を開いた。
米国は大統領と国務長官が同時に歓迎声明を出し、4月末の韓米首脳共同声明で韓日関係改善のための大乗的な措置を評価した。2022年11月のプノンペン3カ国首脳共同声明で基本枠組みを作った韓日米の連携体制に本格的に取り組んでいく段階に入った。韓日関係の回復軌道進入と韓日米連携体制の本格化は、北核の高度化と中国の攻勢的外交安保政策による戦略的流動性に対応する強い力になるだろう。
一方、岸田首相の過去の問題に関する表現は歴代政権の認識を継承するラインにとどまり、被告日本企業の自発的寄与も不確かな状態であるため、「コップの半分」を満たすことは課題として残ることになった。岸田首相が訪韓を契機に強制動員被害者に対する慰労を表現し、広島平和公園内の韓国人原爆被害者慰霊塔共同参拝で誠意を表示したが、韓国国民の期待には及ばなかった。強制動員問題は進行形であるため、今後補完していくことを期待する。
韓日関係は暗くて長いトンネルの出口を抜けて回復を加速する段階に入った。韓日関係のパラダイムを過去、2国間、感情、中高年世代が支配した過去10年間から、未来、地域・グローバル、理性、青年世代が重視される関係に変えなければならず、そのために次のように提言しようと思う。
1つ目、強制動員問題の解決を急ぐことだ。3月6日の解決策は現金化を防ぐために民法上の第三者弁済を採択した。各級裁判所で審理中の約1080人の判決の終結で必要となる金額の基金問題と、大法院の判決との衝突問題解決には、特別立法が最善だ。難しくても野党を含む官民委員会を構成して準備作業を急がなければいけない。また鹿島建設(2000年)、西松建設(2009年)、三菱マテリアル(2016年)が中国の被害者に謝罪を表明したように、被告日本企業が謝罪表明と自発的寄与をするよう外交努力を傾けると同時に、国内被害者を説得して世論の支持を得られるよう努力しなければいけない。
同時に歴史和解は中長期な課題として着実に追求することが求められる。歴史認識問題は歴史家に任せるのが望ましいため、第3期韓日歴史共同委員会を復活させ、日本の若い世代が正しい歴史認識を抱くよう歴史教育、文化手段の活用を含む多様な案を講じなければならないだろう。
2つ目、韓日協力の場が開かれただけに、協力の幅を広げて早期収穫が可能な協力を先に推進する必要がある。両国政府は両国企業が活発に交流・協力できる環境を作り、巨視的レベルの協力を深めていくべきだろう。高官級経済対話を活性化し、FTA締結、標準化・特許・情報協力、宇宙・サイバー協力、第4次産業革命分野の科学技術協力、第3国共同進出支援、サプライチェーン安全と相互融通、経済安保情報の共有などを模索するのがよい。
3つ目、失った信頼資産を満たすことだ。未知・誤解・偏見を解消して相互理解・信頼を高めるために、中長期レベルで青少年の交流を含む人的交流の大幅拡充と制度化が重要となる。1963年の独仏間のエリゼ条約と似た合意を考慮することを望む。
4つ目、関係悪化で閉ざされた意思疎通チャンネルを再稼働し、新たに必要な分野は新設することだ。特に戦略対話の重要性が高まっただけに高官レベルでの対話と意思疎通を増やすべきだろう。また韓日関係の未来ビジョンを設計する韓日官民委員会の設立を通じて中長期的な安定化を図るのがよい。
最後に、インド太平洋政策遂行の連携、自由主義の国際秩序維持、国際舞台でのグローバルイシュー共同対応を積極的に推進することだ。韓日両国が協力を通じて相互利益のシナジー効果を最大化できる領域に挙げられる。
関係改善のための矢は弓を離れた。好機を生かしながら早期に改善を定着させて悪化以前に戻し、さらに激動の東アジアに平和と繁栄をもたらす枠組みを発展させることを望む。価値を共有した米国の同盟国の両国は東アジアの地主(anchor)としての責務を忘れてはいけない。
近寄ってくるな!
気持ち悪い!
コメント