記事入力 : 2021/11/29 08:40
【独自】燃料電池車・EV販売ゼロのトヨタ、韓国でエコカー普及率トップだった
トヨタ自動車は昨年、韓国でエコカー・低公害の「第1種低公害車両」に相当する電気自動車(EV)や水素燃料電池車を1台も販売しなかった。「第2種低公害車両」であるハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)だけを1万4168台販売した。「第3種低公害車両」である「液化石油ガス(LPG)・ガソリン車」(LPGやガソリンを燃料とするが、排ガスが一定基準を満たしている車両)の販売もゼロだった。その結果、韓国政府が集計したトヨタの「低公害車販売普及率」(以下普及率)は43.7%だった。現代、双竜、ベンツ、BMWなど韓国政府による評価対象となった自動車メーカー10社で最高値だった。
同じ期間に第1種低公害車両を1889台販売したルノーサムスンは対照的な成績表を受け取った。普及率は5%で、最下位(10位)だった。第2種低公害車両のHEVとPHEVの販売はゼロで、第3種低公害車両は3641台だった。
第3種低公害車両の部分で違いがあるが、第1種低公害車両の販売が多かったルノーサムスンはエコカー普及率で最下位となり、第1種低公害車両を1台も売らず、第2種だけを販売したトヨタがトップになるという奇妙な現象が起きた格好だ。特に第2種低公害車両は韓国政府が既に「EVや水素燃料電池車レベルの低公害・環境対策車とは言えない」として、補助金支給対象から外した車種だ。ところが、第2種に韓国政府が高得点を付けているため、低公害車の販売を促進しようという本制度の趣旨が損なわれている。
野党・国民の力の環境労働委員会に所属する権寧世(クォン・ヨンセ)国会議員は28日、本紙に対し、「環境部は最近、過去1年間に国内メーカーの低公害車販売実績が32万8330台(22.0%)であり、当初目標(15%)を超過達成したという自画自賛の発表を行った」と語った上で、「細かく見ると、目標値を超過達成したというメーカーの大半による第1種低公害車両の販売は非常に低調だった」と指摘。「環境部が普及率を容易に達成できるように制度を設計し、国民に目標値を超過達成する成果を上げたというまやかしの政策広報をしたものだ」と主張した。
本紙が入手した低公害車普及目標対象メーカー10社の2020年度の普及実績を見ると、普及率トップはトヨタ(43.7%)、2位BMW(33.4%)、3位現代自動車(29.2%)、4位双竜自動車(25.0%)、5位起亜自動車(17.1%)、6位ホンダ(16.9%)、7位アウディ(16.6%)、8位ベンツ(15.7%)、9位韓国GM(15.5%)、10位ルノーサムスン(5.0%)の順だった。10社のうち9社が普及率目標値15%を超過達成したことになる。韓国政府は23年から前年度基準で普及率目標値を達成できなかった場合、車両1台当たり75万-300万ウォン(約7万1000-28万4000円)の寄与金納付を義務付ける形で事実上のペナルティーを課す方針だ。
しかし、環境部の発表とは異なり、実際のメーカー別の普及内訳を見ると、最も重要な第1種低公害車両の販売量は低迷している。トヨタは0台、BMWは608台(換算実績0.7%)、現代自が1万5391台(2.9%)、双竜自はゼロ、起亜自は3574台(0.8%)、ホンダはゼロ、アウディは601台(3.0%)、ベンツは608台(0.9%)、韓国GMは1579台(1.2%)、ルノーサムスンは1889台(1.8%)だった。
第1種低公害車両の販売が低調だったにもかかわらず、韓国政府が低公害補助金の支給対象でもなく、国際社会で低公害車としてまともに認められていない第2種・第3種の車両まで低公害車の販売普及実績として認めたことで、大半の自動車メーカーが低公害の優等生になった。これに対し、第1種低公害車両の販売が最も多かったルノーサムスンは「落第生」になってしまった。
専門家は政府が普及率実績換算基準を精密に再検討すべきだと主張している。現在環境部は販売台数を単純に計算せず、車種別に換算点数を算出している。第1種には1.2-3.0点、第2種のPHEVには0.6-1.2点、HEVには0.6-0.8点、第3種には0.6点を与える方式だ。このままでは今後もエコカー優秀企業と落第企業が逆転することが繰り返されかねないため、それを防ぐために第1種の換算点数をさらに高め、第2・3種の換算点数を引き下げる方向で調整が求められている。米カリフォルニア州と中国では、低公害車の販売普及率算出に際し、HEVやLPG・ガソリン車を実績に含めていないという。
権議員は「政府は見かけだけの政策ではなく、時間が少しかかったとしても、実現可能な普及率目標値を掲げ、メーカーがそれに従うように誘導すべきだ」と指摘した。
ノ・ソクチョ記者 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
「EV化で30万人が仕事を失う」説は本当か
2021年03月02日 07時00分 公開
EV(電気自動車)の普及によって雇用が30万人失われる――。共同通信などが報じた記事が話題となっている。
当該記事に試算の明確な根拠は示されていないが、EVはガソリン車と比較して部品点数が少ないため、部品メーカーが淘汰されるのはほぼ間違いない。一方、自動運転システムの導入など、自動車業界のサービス産業化が進むことで、この分野の雇用は増える可能性が高い。実際のところ、EV化によって雇用にどの程度の影響が及ぶのだろうか。
日本はこれまで脱炭素に対してどちららかというと消極的だったが、国際社会の動きは激しく、欧州だけでなく中国や米国もそろって脱炭素に舵(かじ)を切ることになった。このため菅義偉政権は従来の方針を転換し、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言した。
これまでEVはバッテリーの価格が高く、同クラスの場合、ガソリン車よりも割高になるケースが多かった。ところが生産量の増大から規模のメリットが発揮され始めており、最新モデルではガソリン車と同程度か場合によってはそれ以下となっている。中国では45万円の小型EV「宏光MINI EV」が大人気となっているし、国内でも出光興産が低価格な超小型EVを今年中に投入すると発表しており、価格破壊が進む可能性が高まっている。
日本を代表する部品メーカーである日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、「EVの価格は最終的に30万円になる」と断言しているが、この数字もあながちウソではないだろう。
蓄電池は低温では十分に性能が発揮できないことから、寒冷地では使えないという議論があったが、これも5年前の常識である。温度差による性能ギャップは急速に縮小しており、今のEVは寒冷地でも問題なく使うことができる(雪で立ち往生してもシートヒーターを使えば、場合によってはガソリン車よりも長時間、暖が取れる)。何よりEVの場合、自宅で充電ができるのでガソリンスタンドに行く必要がない。航続距離は大幅に伸びているので、ほとんどの利用者にとって大きな問題にはならないだろう。
仮にガソリン車が残るにしても、今後はすべてハイブリッドになるので、ガソリン需要はざっと半分以下になる。ただでさえ人口減少でガソリンスタンドの数が減っているなか、需要減少が重なれば、過疎地域を中心にガソリンスタンドは急ピッチで消滅していくだろう。何十キロも走ってガソリンを入れることと、家で充電することの利便性を比較すればおのずと結論は決まってくる。
これまでEV普及を妨げると思われていた、価格、寒冷地での性能、航続距離、利便性といった問題がほぼ解消されつつあるので、当然の結果として、EVのシェアが高まることが予想される。
部品メーカーの雇用は失われるが……
自動車がEV化されると部品点数が大幅に減る、という記事の指摘は概ね事実である。基幹部品であるモーターとバッテリーは汎用品なので、需要さえあれば規格化された製品を大量生産することで、大幅なコストダウンが見込めるし、何より両者については、製品を供給するメーカーがたくさん存在している。
加えてEVは、重量のあるトランスミッション(変速機)も不要であり、ラジエーターなどの冷却系統、マフラーなど排気系統も必要ない。部品点数は従来型ガソリン車と比較すると10分の1程度になる可能性が高いだろう。自動車メーカーは傘下に多数の部品メーカーを抱えていたが、部品点数が10分の1になれば、一部の部品メーカーは自動車メーカーにとって不要となる。30万人という数字の根拠は明らかではないが、その程度で済めばむしろラッキーと考えたほうがよいくらいの規模感かもしれない。
しかしながら、EV化の進展は一方的に雇用が失われることを意味するわけではない。自動車業界はEV化と同時並行で自動運転へのシフトも進んでおり、すでに中国では完全自動運転タクシーの商用サービスがスタートしている。日本は自動運転への対応が遅れているが、それでも近い将来、多くのクルマが自動運転対応となるだろう。
そうなるとクルマは自律的に動ける存在となるので、所有して運転するものから、随時利用するものへと質的な変化を遂げる。これは物流や運輸などあらゆる業界を巻き込んだ大きなビジネスチャンスとなるため、この領域にはかなりの人材が必要となってくる。
つまり、EV化の進展は自動車産業の質的な転換が進むという意味であって、一方的に市場が縮小していくわけではない。ただ、従来と同じように内燃機関の部品を製造することに固執すれば、確実に雇用を失うという話だ。
地域によっては深刻な影響を受ける可能性も
EV化によってもっとも深刻な影響を受けるのは、自動車部品メーカーに部品を納入する企業で、かつ製品の多くが内燃機関に関連したところだろう。顧客である大手部品メーカーが全面的にEVにシフトした場合、下請けメーカーとの契約を一気に見直す可能性がある。
地方ではこうした専業の部品メーカーが地域の雇用を支えているケースがあるので、EVシフトの影響は地域によってバラツキがあると考えたほうがよい。政府や自治体は、影響に大きな差があることを前提に、産業構造シフトの影響が最小限ですむよう、職業訓練などの施策を今から検討しておく必要がある。
これは自動車業界の話だが、製造業からサービス業へのシフトは日本経済全体に共通の傾向であり、年々、製造業の比率が低下している。現時点で日本には約6700万人の就業者がいるが、このうち製造業に従事しているのは1000万人程度である。製造業に従事している人の1割がサービス業にシフトすると、それだけで100万人規模の雇用が流動化する。
30万人という数字に過度にこだわる必要はないが、仕事が変わるという意味ではさらに多くの労働者がEV化の影響を受けるだろう。そして同じ動きは、あらゆる業界に“加速”していくはずだ。
「エンジン開発消えた」 EV化で破綻、下請けの誤算
2021年6月16日 5:00
自動車エンジン向けにアルミニウム鋳造設備を開発・製造していた大阪技研(大阪府松原市)の破産が4月、決まった。ホンダから次モデルの開発プロジェクトを受注しようとしていたが、電気自動車(EV)シフトで中止となり、資金繰りに行き詰まった。大出竜三元社長(69)は「脱エンジンがこれほど急速に進むとは思わなかった」と話す。
社員わずか十数人。製造設備を持たないファブレスで、ホンダのほかトヨタ自動車、三菱自動車、韓国・現代自動車、中国・重慶長安汽車など国内外のエンジン開発にかかわっていた。
「日本の自動車エンジンはリーマン・ショックを除けば活況が続いていた。国の省エネ基準が厳しくなり、自動車メーカーは燃費競争を繰り広げた。最初の転機は2015年に発覚したディーゼルエンジンの排ガス不正。欧州でEVシフトが進んだ結果、我々の仕事もやや減ったが、日本では対岸の火事という受け止め方だった」
「風向きが変わったのは新型コロナウイルスが広がり始めてから。20年3月までにホンダから受注するはずだったエンジンの開発プロジェクトが、急きょ1年延期になった。国からの補助金でしのいでいたところ、21年2月に『中止になった』と連絡が入った。今後の開発予算はEVや燃料電池、自動運転に振り向ける、と。会社がもたないと直感した」
ホンダは4月、40年までにエンジン車の販売をやめると正式に発表した。日本の大手自動車メーカーが初めて打ち出した大転換だった。
「エンジンの技術は極限まできていて、お金をかけても燃費はわずかしか上がらない。いずれEVにシフトすると分かってはいたが、ここまでの急旋回は予想外だった。我々も将来に備えて、銅合金の鋳造設備を研究したり、ブレーキ向けにアルミとセラミックの複合材を開発したりしていた。果実を得る前に大波がやってきた」
「銀行からつなぎ融資を持ちかけられていたが、返す当てがないため断った。会社売却などの方策を探りつつ、従業員に給料と退職金が払えるギリギリのところで破産を申請した」
引き金を引く形になったホンダだが、恨みはないという。むしろ日本の自動車産業の将来を気にかける。
「ホンダからは『予定を空けておいて』と言われていただけで、正式には受注していなかった。それにホンダはよくぞ決断したと思う。我々はついていけなかったが、明確な方針が出れば、部品メーカーも次の行動に移せる。全方位を掲げ続ける自動車メーカーは先が見えていない、つまり決められないだけではないか」
「エンジンが残るとしても一部のマニア向けで、技術は先鋭化する。燃費をさらに上げるか、二酸化炭素の出ないメタンガスなどを使うか。いずれにせよ必要な部品はごろっと変わり、険しい道となる。燃料電池についても、鋳造に携わってきた私の感覚では、金属を透過する水素の制御は相当に難しい。(部品メーカーは)今ある技術でEV向けの開拓を急ぐべきだ」
〈記者の目〉
EVシフトが部品メーカーに与える打撃を予見させるような事例だ。コロナからの復調を背景にエンジンの生産は続いているが、次のモデル開発にかかわる大阪技研では影響がほかより早く表れたといえる。大出氏は取材に応じた理由として「自動車産業の激変に警鐘を鳴らしたかった」と話す。エンジン部品の裾野は広く、関西にも関連メーカーは多い。各社の覚悟が問われている。(高橋圭介)
大阪技研
1964年、大出氏の父親が創業。技術で勝負したいという思いから社名を「本田技研工業(ホンダ)」にあやかった。大出氏は2005年から社長。溶かしたアルミニウムをゆっくりと鋳型に流し込む、低圧鋳造設備を主に手掛けていた。直近のピークである16年12月期には4億1000万円の売上高があったが、20年12月期は1億3000万円にとどまった。21年3月に大阪地裁に自己破産を申し立て、4月に手続き開始決定を受けた。
日本の産業はトヨタ等の自動車メーカーがけん引していますが
それを中小の下請け部品メーカーが支えているのです。
自動車メーカーからコストダウンのほか、品質・技術の向上を求め続けられ
今の日本製自動車の品質が保たれているのです。
トヨタはハイブリッド車を生産することで下請け会社を守りつつ、
とはいうものの、法改正や環境対策など国際的な動向に注意し
、
いつでもEV化に切り替えられるような体制をとっていると思われます。
トヨタはハイブリッド車のほか、水素燃料自動車を推進していく
とのことですが、EUだけでなくアメリカなどの動向で急変する可能性もあります。
このような時代の変化で日本の中小企業が培った技術が失われていくこと、
EV化により素晴らしい技術を持った中小企業が消えていくことは悲しいことです。
韓国の場合、日本のように技術をもった中小企業がほとんど存在しておらず、
中小企業が廃業しても、そこには残すべき技術はあまりないと考えます。
そのため、EV化による国内産業への影響は日本に比べ小さいと思われます。
特に基礎研究や職人的技術に興味がない国民性ですから
下請け会社が廃業しても自動車メーカーは部品の仕入れ先を
中国やベトナムなどにシフトするだけで特に影響はないと考えます。
そして職を失った中小企業の人たちはチキン屋に転職すればいいのです。
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